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天本 一平
Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan, 24(391), p.393 - 401, 2017/11
ガラスは非晶質であるため、組成を変化させることが容易であり、さまざまな特性を制御できる。例えばソーダ石灰ガラスに酸化ホウ素を添加したホウケイ酸塩ガラスは、耐熱性や強度の面で優れており、幅広い用途がある。原子力の分野においても、放射性廃棄物を不動化して長期安定化を図るため、ホウケイ酸塩ガラスが放射性廃棄物の固化媒体として用いられている。高レベル放射性廃棄物を充填したガラスをガラス固化体と呼んでいる。本稿は、放射性廃棄物の分類や処理方法、製造したガラス固化体の特性やその後の処分方法について述べており、さらにホウケイ酸塩ガラス以外の固化媒体についても紹介している。
都築 達也*; 三田村 直樹*; 天本 一平
社会・環境報告書2014(インターネット), p.6 - 7, 2014/10
放射性廃棄物の安定化処理には、一般的にガラスが用いられている。放射性廃棄物を充填したガラス(ガラス固化体)の場合、仮にガラス固化体が割れても放射性物質が放出せず、安定的に閉じ込めることができる。固化処理に使用されるガラスの条件としては、(1)放射性廃棄物を多く充填できる、(2)化学的にまた熱的に安定である、(3)耐放射線性などが挙げられ、このような処理用ガラスとして、「ホウケイ酸塩ガラス」や「鉄リン酸塩ガラス」が提案されている。セントラル硝子では、多様な物質の充填に対応できる可能性のある鉄リン酸塩ガラスを媒体として使用する検討を日本原子力研究開発機構や愛媛大学と取り組んでいる。
大貫 敏彦; 尾崎 卓郎; 吉田 崇宏*; 坂本 文徳; 香西 直文; 若井 栄一; Francis, A. J.; 家藤 治幸*
Geochimica et Cosmochimica Acta, 69(22), p.5307 - 5316, 2005/11
被引用回数:48 パーセンタイル:68.3(Geochemistry & Geophysics)6価ウランの酵母細胞表面での鉱物化機構を濃集実験,分光学的分析,電子顕微鏡観察により解明した。ウランは細胞表面に吸着し、酵母細胞内から排出されるリンと接触することにより細胞表面でウラニルリン酸塩鉱物化することが明らかとなった。
鈴谷 賢太郎; Loong, C.-K.*; Price, D. L.*; Sales, B. C.*; Boatner, L. A.*
Journal of Non-Crystalline Solids, 258(1-3), p.48 - 56, 1999/00
被引用回数:16 パーセンタイル:70.41(Materials Science, Ceramics)鉛-インジウム及び鉛-スカンジウムのリン酸塩ガラスは、高い光透過率と反射率を示し、低い融点を持つことから、光機能材料として有望である。特に、インジウム及びスカンジウムの添加の物性に与える影響が大きいと言われており、その金属まわりの環境構造がどうなっているのか興味が持たれている。そこで、本研究では、これらのリン酸塩ガラスの構造をパルス中性子回析を用いて詳細に調べた。その結果、インジウム-酸素及びスカンジウム-酸素の距離はどちらも2.1Åであり、いずれも6配位でInOやScOの八面体を形成していることが明らかになった。この比較的小さな八面体は、Alなどの3価の金属でみられ、ガラスネットワーク(この場合は、POネットワーク)を引き締め、ガラス構造を安定化させることが知られており、このInとScも同様の役割を担っているものと考えられた。
鈴谷 賢太郎; D.L.Price*; C.-K.Loong*; 小原 真司*
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 60(8-9), p.1457 - 1460, 1999/00
被引用回数:26 パーセンタイル:76.83(Chemistry, Multidisciplinary)Mgリン酸塩ガラスは、物性値がMgO/PO=1のメタ組成で異常な変化をすることから異常リン酸塩ガラスと呼ばれており、Mg-O配位数の変化が原因といわれていた。近年の研究で、メタ組成近傍で大きなMg-O配位数の変化がないことは明らかになっているが、その配位数は4~6と大きなばらつきがあり、また、新たな異常変化の根拠も明らかになっていない。本研究では、メタ組成近傍の3つの試料について中性子回折により構造変化を調べた。Q=30まで測定することにより、ほぼ完全にMg-O相関(再隣接)を分離することができ、Mg-O配位数は6でメタ組成近傍で変化はないが、その結合距離の分布には大きな変化がみられた。また、構造因子S(Q)における低Q側のピーク位置もメタ組成近傍で高Q側へシフトする現象がみられ、この異常変化は中距離秩序の変化も伴っていることが明らかになった。
奥出 進也*; 野呂 寿人*; 名越 正泰*; 山本 博之; 馬場 祐治; 佐々木 貞吉
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 88-91, p.467 - 471, 1998/00
被引用回数:9 パーセンタイル:41.21(Spectroscopy)鋼板の表面処理に用いられ、その耐食性に影響を与える各種リン酸塩についてX線吸収端微細構造法(XANES)及び共鳴オージェ電子分光法を用いて、電子状態の解析を行った。リン酸亜鉛とリン酸クロムのXANESスペクトル(P,K吸収端)から、リン酸クロムでは、リン酸亜鉛にみられないプリエッジピークが観測された。これは、リン酸イオンの結合相手であるCr及びZnの電子配置がそれぞれ[Ar]3d,[Ar]3dであり、Crには3d軌道に空きが生じているためと考えられる。また、共鳴オージェスペクトルに現れるスペクテーターオージェピークとノーマルオージェピークのエネルギー差が両化合物で異なることも確認された。
鈴谷 賢太郎; D.L.Price*; C.K.Loong*; S.W.Martin*
Journal of Non-Crystalline Solids, 232-234, p.650 - 657, 1998/00
被引用回数:74 パーセンタイル:93.87(Materials Science, Ceramics)PO(五酸化リン)及びアルカリリン酸塩ガラスの構造を中性子回折によって調べた。構造因子S(Q)の低Q側(Q≦3)で中範囲秩序の存在が確認された。POガラスの中範囲秩序は基本的にPO分子の充てんモデルで表すことができる。さらに、POにアルカリ酸化物を加えていくと中範囲秩序を示す低Q側のピークはPOネットワークの破壊によって大きく変化し、MO/PO=1(M:アルカリ金属)付近で新たな中範囲秩序(拡張された中範囲秩序)を示すピークがあらわれる。このピーク位置は、中範囲秩序の準周期性を示すが、その長さは、アルカリ金属イオンが大きい程長く、酸素イオンとの相対的な大きさによって変化する。つまり、アルカリ金属イオンまわりのPOのオーダリングが、この拡張された中範囲秩序の要因と言える。
鈴木 洋平*; 村上 隆*; 小暮 敏博*; 磯部 博志; 佐藤 努
Mat. Res. Soc. Symp. Proc., 506, p.839 - 846, 1998/00
ウラニル鉱物はウランの壊変などに起因する性質やpH,Eh依存性などにより、それが形成した地球化学的条件や年代などの重要な情報をもたらす。本研究では、サレアイト(Mgウラニルリン酸塩)とメタトーバナイト(Cuウラニルリン酸塩)の形成過程に関する結晶化学的条件について報告する。サレアイトは、室温または30Cで湿度によって可逆的に水和と脱水が起こる。電顕観察によると、サレアイトとメタトーバナイトはそれぞれ独立に形成されたと思われる。結晶層間の水分子とMg,Cu間の距離は10%以下しか違わないが、局所的な構造の違いによりこれら2つの鉱物は別の層として形成し、複合層や固溶体を作らない。この結果から、他のウラニルリン酸塩についても同様に固溶体や複合層の形成は起こらないものと思われる。
C.K.Loong*; 鈴谷 賢太郎; D.L.Price*; B.C.Sales*; L.A.Boatner*
Physica B; Condensed Matter, 241-243, p.890 - 896, 1998/00
被引用回数:27 パーセンタイル:80.08(Physics, Condensed Matter)様々なリン酸塩ガラスの短範囲、中範囲構造及び動的構造(ダイナミックス)を中性子回折及び非弾性散乱によって調べた。五酸化リンガラス中のPO四面体の3次元ネットワーク構造は、非常に不安定で水を吸収しやすい。この構造は、金属酸化物の導入によって、3次元から1次元の鎖状構造へと、さらに孤立PO四面体へと変化する。これは、中性子回折パターンS(Q)のQ4付近に明確に表れる。このような構造変化の動的なレスポンスは、同様に明確であり、例えば、P-Oストレッチングバンドは、五酸リンガラスの170meVから、オルトリン酸塩ガラスの125meVまで大きく変化する。
奥出 進也*; 野呂 寿人*; 名越 正泰*; 山本 博之; 馬場 祐治; 佐々木 貞吉
Photon Factory Activity Report, (14), P. 430, 1996/00
リン酸亜鉛、及びリン酸クロムについて、X線吸収端微細構造法(XANES)、共鳴オージェ電子分光法を用いて電子構造の解析を行った結果をまとめた。リン酸クロムのXANESスペクトルにおいてプリエッジピークが観測されること、スペクテーターオージェピークとノーマルオージェピークのエネルギー差が各々の化合物で異なることを見出した。
北村 直登*; 斎藤 全*; 武部 博倫*; 天本 一平; 小林 秀和; 都築 達也*; 三田村 直樹*
no journal, ,
福島原子力発電所での冷却水処理に用いられた凝集沈殿法によりBaSOを主成分とする二次放射性スラッジが発生している。鉄リン酸塩(FeOx-PO)ガラスを用いたガラス固化法での溶融時にBaSOはBaOに分解することから、BaO-FeOx-PO系ガラスについて、鉄の価数を滴定法で評価し、耐水性に関係のある溶出挙動を調査した。試料は重量変化、溶液のpH、巨視的外観並びに微細構造及びガラス構造の変化を評価し、浸出挙動の組成依存性を検討した。
香西 直文; 坂本 文徳; 大貫 敏彦; 佐藤 隆博; 江夏 昌志; 神谷 富裕; 江坂 文孝
no journal, ,
放射性核種の環境中での移行における原生動物の役割を明らかにするために、重元素(U, Eu)を吸着させた酵母を用いてゾウリムシの培養を行い、その間の重元素の挙動を検討した。原生動物の中でその性質が最も知られている単細胞動物であるゾウリムシをモデル生物に選んだ。重元素の希薄な溶液に酵母を接触させると、酵母細胞表面に重元素のリン酸塩が生成した。この酵母を用いてゾウリムシを培養した。培養の間、酵母に吸着させた重元素の内、溶け出したのは極一部であった。培養が進むと、膜状の沈殿物が生成した。この沈殿物は、酵母の未消化細胞及び消化残渣とそれらの間隙を充填する緻密な有機物から成る。この膜状の沈殿物には、酵母細胞に生成したリン酸塩と大きさ形状がよく似たリン酸塩が多数観察された。これらの結果は、本研究における単純な食物連鎖系において酵母の重元素固定効果が失われないことを示唆する。
武部 博倫*; 北村 直登*; 天本 一平; 小林 秀和; 三田村 直樹*; 都築 達也*
no journal, ,
福島第一原子力発電所の汚染水処理では、初期に凝集沈殿法が用いられており、二次廃棄物の放射性スラッジが生成し、その主成分はBaSOである。硫酸塩の溶解性と耐水性に優れるガラスホストとして鉄リン酸塩ガラス(IPG)を選択した。熱力学データベースFactSageを用い、BaSOとIPGとの模擬スラッジの溶融過程を検討した。またホットサーモカップル法を用い、溶融温度を実験的に決定した。硫酸成分は溶融過程で揮発し、結果として、BaO-FeO-PO(x=11.5)系(BaFeP)ガラスが得られる。BaO含有量を変化させて溶融急冷法によりBaFePガラスを作製した。ガラス中の鉄の価数を過マンガン酸カリウムによる滴定法で決定した。得られたガラスの特性としてDTAを用い、結晶化挙動の有無とガラス転移温度及び結晶化開始温度を求め、耐結晶化性を評価した。またMCC-2静的浸出試験法を行い、浸出試験前後の重量、浸出液のpH及び微細構造の変化を調べ、ガラス試料の耐水性を評価した。耐結晶化性と耐水性の視点から、最適ガラス組成を提案した。
天本 一平
no journal, ,
熱力学は、さまざまな工業分野において利用されており、ガラス工業においても活用する価値は大きいように考えられる。ここでは、放射性廃棄物を安定な形態に固化する媒体として使用できるガラスに着目し、計算科学的な観点から、媒体としての適切な組成や材料の溶融温度等について検討を行った過程と結果について述べている。さらに、現在、固化媒体として広く使用されているホウケイ酸塩ガラスと同等以上の性能を有することが期待される鉄リン酸塩ガラスについても特性の解析を行っているので成果の紹介をしている。なお、ガラスに関する熱力学的諸量については、十分整備されていない現状を踏まえ、構築したガラス関連酸化物のデータベースについても議論している。
山中 大樹*; 新井 剛*; 佐藤 史紀; 伊藤 義之; 堀口 賢一
no journal, ,
リン酸塩を含有する低放射性廃液の固化処理へリン酸マグネシウムセメントを適用することを検討している。本研究では、リン酸マグネシウムセメントを用いた固化体の作製条件の検討を行い、KHPOを添加することで反応速度の抑制が見込まれること、120分間混練することにより均一な固化体が作製可能であることが示された。
伊藤 義之; 松島 怜達; 佐藤 史紀; 齋藤 恭央
no journal, ,
東海・再処理施設の低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)では、3種類の廃液(スラリ廃液, リン酸塩廃液, 炭酸塩廃液)をセメント固化し廃棄体とすることを計画しており、セメント固化設備の設計(安全性評価)では、セメント固化体から発生する水素ガス発生量を評価する必要がある。このため、模擬のセメント固化体を用いた線照射試験を行い、各固化体の水素生成G値を測定した。その結果、スラリ固化体のG値は、約0.03、炭酸塩固化体0.020.14、リン酸塩固化体0.210.37(/100eV)であり、水素生成G値は、固化する廃液成分やその充てん率によって異なってくることが分かった。
藤澤 政晴*; 武部 博倫*; 小林 秀和; 天本 一平
no journal, ,
使用済核燃料の再処理工程で生じる高レベル放射性廃液を常圧下で蒸発濃縮させるとMoとZrとの化学反応により、結晶性のモリブデン酸ジルコニウムを主成分とする沈殿物が生成することが知られている。しかし、従来の高レベル放射性廃液の固化媒体であるホウケイ酸塩ガラスは、Moを取り込むことで水に易溶性な相が形成されやすいという問題がある。この現象を克服するために、新しい放射性廃棄物固化ガラスとして、耐水性に優れ金属酸化物を多く含有可能である鉄リン酸塩ガラスが期待されている。本研究では、沈殿物主成分の一つであるMoに着目し、MoOを添加した鉄リン酸塩ガラスの耐水性とガラス構造の関係について調査し、鉄リン酸塩ガラスの有効性を確認している。